2026.4.9プレスリリース

【2026年3月修了式】【事例発表】91歳・要介護4の女性が自ら口紅を手に取るまで

2026年3月28日(土)に修了式を開催し、受講生による介護美容の事例発表会を実施しました。
全国5校・計383名の発表の中から、象徴的な3事例を抜粋して紹介します。

検証結果のハイライト

【身体的変化】 フットケアの継続により、脚の周径が最大0.6cm減少。皮膚の乾燥改善とともに「足が軽くなった」という自覚症状も確認(事例①)

【行動変容】 コミュニケーションが困難だった要介護4の高齢者が、自らネイルの色を選択・希望を伝えるといった主体性を回復(事例①)

【ポジティブ感情の蓄積】 認知症により施術の記憶が保持されない状況下でも、回を追うごとに「嬉しい」「贅沢な日」といった前向きな発言が増加(事例②)

【精神的変化】 美容への拒否があった対象者のネガティブ発言が、初回20回から最終回には1回へと激減(事例③)

【事例①】不安と拒否から「主体的な意思表現」へ(91歳・要介護4)

状況:当初、対象者は周囲を窺い、表情も硬く、コミュニケーションに課題がありました。入浴を控えていた影響もあり、常に不安そうな様子が見られましたが、4日間の施術で大きな変化を遂げました。

アプローチ: 不安を払拭するため、ホワイトボードを用いた視覚的な説明(情報補完)を行いながら、2回目訪問からフットケア・ハンドケアを実施。3・4回目はフットケア・ネイルケアを行い、4回目は施術後に写真撮影を行いました。

結果: 介護職員や理学療法士には見せない笑顔が定着し、自ら口紅をつけるなど美容への関心が高まりました。最終回にはネイルの色を自ら指定するなど、主体性が見られるようになりました。

身体データ: 脚の周径が右21.6cm→21.0cm、左21.0cm→20.0cmへと変化。皮膚状態の改善とともに、歩行への意欲にも繋がるポジティブな発言が確認されました。
9-3 (1)

【事例②】認知症下でも「喜び」の感情は蓄積される(76歳・要介護3)

状況: 中度の認知症により毎度「初対面」の認識。自己否定的な発言が目立っていました。

アプローチ: 初回訪問はハンドトリートメント、2回目はやフェイシャルに加えリップ・アイブロウなどポイントメイクを施術。4回目はネイル施術を継続しフルメイクで写真撮影をいました。

結果: 施術の記憶は保持されずとも「心地よさ」の感情は蓄積され、鏡を見る回数が増えるにつれ「今日はとても贅沢な日になった」と発言がポジティブに変化。最終回には過去最高の笑顔で写真撮影し、ご家族からも喜びの声が寄せられました。
_DSC8637

【事例③】美容への「拒否」から「自己表現」へ:環境調整による意欲向上(82歳・要介護3)

状況: アルツハイマー型認知症。「触られるのは嫌」という強い拒否感と「疲れた」「嫌だ」などのネガティブ発言(20回)が見られました。

アプローチ: 初回訪問は拒否があり施術は控え、ヒアリングのみで終了。2回目の訪問から施術空間にアロマや音楽を導入して「美容体験」としての安心感を構築し、口紅体験とネイルケア、写真撮影を行いました。3回目はハンドトリートメント、4回目はハンドパック・ご自身で口紅を塗りました。

結果: 2回目にはネイルを受け入れ、最終回には自らポイントメイクを施し「これぐらいがいいわね」と納得の表情。ネガティブ発言は1回に激減。施術後にお気に入りのスカーフを選び歌を披露するなど、自己表現の広がりが見らました。
ぼかし2

本取り組みの意義と今後の展望

これらの事例から、美容が身体的ケアにとどまらず、利用者の心理面や行動、自己表現に劇的な影響を与える可能性が示されました。特に、コミュニケーションが難しいケースや認知症のある方においても、段階的な関わりや環境調整により変化が見られた点は、介護現場における新たなケアの選択肢として注目されます。

今後、こうした実践事例の蓄積を通じて、介護現場における美容の活用が広がることで、利用者の生活意欲向上や介護スタッフの負担軽減に寄与することを目指します。
IMG_6165