介護美容の現場で、ケアビューティストが“選ばれ続ける理由”
介護美容の現場では、一度契約すると、ほとんど解約が起きない。
リピート率100%というケースも、決して珍しくありません。
なぜ、ケアビューティストは“選ばれ続ける”のでしょうか。
今回の記事では、YouTube企画
「介護美容の現場で選ばれる理由とは? 活躍するケアビューティスト3人の仕事リアル対談」
でご紹介した、介護美容研究所の卒業生3名の実例をもとに、「現場で信頼が積み重なっていく構造」を、キャリア・関係性・仕事の広げ方という視点から整理していきます。
動画では伝えきれなかった“考え方”や“背景”を丁寧に紐解いていきます。
表面的な成功談ではありません。
- なぜ続くのか
- どこで評価されているのか
- どんな行動が“次の仕事”につながっているのか
ケアビューティストという仕事が、特別な誰かのものではなく、一つのキャリアとして、すでに当たり前に存在している世界。
そのリアルを、少し先にのぞいてみてください。

3人の卒業生は、今どんな働き方をしているのか?
介護美容の仕事は、「この形しかない」というものではありません。
今回登場する3名の卒業生も、それぞれ異なるスタイルで活動しています。
サロンと訪問美容を両立する働き方
川田 美歩さん|エステサロン経営 × ケアビューティスト
- がん経験から福祉美容の道へ
- 高齢者・障がいのある方・患者さんへの美容ケアを提供
- 介護施設・病院・ご自宅への訪問美容
- 介護美容と感動をつなぐケアを実践

【活動内容】
●エステサロン「Libra」代表(22年)
●フェイシャル塾 講師
●介護美容研究所 サポート講師
●ケアビューティスト
「もともとサロンをやっていたので、その経験が信頼につながっていると感じます。」
川田さんは、エステサロンを経営しながら、介護施設・病院・個人宅を訪問する形でケアビューティストとしても活動しています。
高齢者へのケアはもちろん、がん治療中の方や障害のある方など、「美容を受けたくても、受けに行くことが難しい人」のもとへ足を運ぶのが、川田さんの介護美容スタイルです。
サロンワークで培ってきた
- 接客力
- 安心感のある所作
- 一人ひとりに向き合う姿勢
は、そのまま介護美容の現場でも活かされています。
「サロンか、訪問か」ではなく、 両立するという選択肢があること。
それも、ケアビューティストという仕事の、ひとつの在り方になっています。

地域に根づく働き方
米田 美穂さん|地域密着 × ケアビューティスト
- 美容を「受けたくても受けられない人」のもとへ届けたいという想いから介護美容の道へ
- 訪問美容に特化した活動スタイル
- 同じ施設・同じ利用者さんと、定期的に関わる継続型の訪問美容
- 地域に根づいた関係性を大切にしながらケアを提供

【活動内容】
●ウェルネスケアサロン「CRESTAGE」オーナー
●ケアビューティスト向けオンライン講座を開講
●ケアビューティスト
「美容を受けたくても、受けられない人のところに行きたかったんです。」
米田さんは、有料老人ホームを中心に、訪問美容に特化したケアビューティストとして活動しています。
月に約10件ほど、同じ施設・同じ利用者さんのもとを定期的に訪問するスタイル。
一度きりの施術ではなく、「顔なじみとして関係を築いていくこと」を大切にしています。
継続して関わることで、表情の変化や体調のちょっとした違いにも気づきやすくなり、利用者さんにとっても「また来てくれる人」「安心できる存在」になっていきます。
「単発で行く訪問」ではなく、 地域に根づき、信頼を積み重ねていく働き方。
それもまた、ケアビューティストという仕事の、スタンダードになっています。

ケアビューティストを中心にパラレルワークを実現
三澤 孝佳代さん
- ケアビューティストを軸に、複数の仕事を並行して展開
- 個人宅への訪問美容では「単発」ではなく定期契約を基本に活動
- ご本人だけでなく、ご家族との関係づくりも重視したケアを実践
- 「すべてが本業」というスタンスで仕事を組み合わせている

【活動内容】
●訪問美容サービス 「fUfU(フフ)」 代表
高齢者向け訪問美容
オフィス向け訪問美容(福利厚生・リフレッシュ目的)
●訪問介護事業所にて介護職として勤務
●専門学校 外部講師
「単発より、続く関係を大切にしたかったんです。」
三澤さんは、ケアビューティストとしての活動を中心にしながら、訪問介護の仕事や、専門学校での講師業など、複数の仕事を並行する“パラレルワーク”を実践しています。

なぜ介護美容の現場で“選ばれ続けている”のか?

3人の話を丁寧に聞いていくと、「選ばれている理由」は決して一つではありません。
ネイルに特化している三澤さん。
長年サロンを経営してきた川田さん。
コミュニケーションを軸にしている米田さん。
それぞれの入口は違います。 けれど、話を重ねるほどに、 共通する“価値の正体”が浮かび上がってきました。
入口は「技術」や「経験」でもいい

私はネイルに特化していて、自分の強みをネイルに絞って開拓しています。
三澤さんの場合、選ばれるきっかけはネイルという専門性でした。季節の花を描いたり、その場でアートを仕上げていくネイルは、目の前で変化が起こる“体験”でもあります。
さらに三澤さんは、介護職として活動もスタートしました。

穏やかに接することや、話し方、口調のゆっくりさは、介護職を通して学びました。
ネイルという“美容の技術”と、介護職で培った“接し方”。この二つが組み合わさることで、安心して任せられる存在として選ばれていったのです。
「プロとしての信用」が、最初の扉を開く

エステサロンを20年以上続けていることを、施設様が信用してくださっていると思います。
川田さんの場合、入口になっているのは長年のサロン経営という実績です。
施設側から見れば、「プロのエステティシャンに来てもらう」という安心感。

化粧品は何を使ったらいいか、今の肌状態はどうか、必ず質問されます。
専門的な質問にその場で答えられること。 一歩引いた立場で「先生」のように見てもらえること。
こうした専門家としての信頼が、 介護美容の現場での評価につながっています。
でも、最終的に残るのは「コミュニケーション」
一方で、米田さんははっきりと言います。

ツールがあくまで美容なだけで、本当に重きを置いているのはコミュニケーション。
もし「きれいになること」だけが目的なら、ネイリストやエステティシャンを呼べばいい。

美容の技術で選ばれているとは、全く思っていなくて。
介護美容が選ばれる理由は、施術の時間を通して生まれる“関係性”にあると米田さんは話します。
「第三者として入る存在」の意味

施設の職員さんでもなく、ご家族さんでもない、外から来た新しい風。
ケアビューティストは、日常のケアを担う人でも、家族でもありません。
だからこそ、 利用者さんにとっては「社会とつながっている自分」を思い出せる時間になります。

回を重ねるごとに、表情がどんどん生き生きしてくる。
その変化は、ご本人だけでなく、ご家族や施設職員にもはっきりと伝わります。

ありがたいことに、一度契約すると解約率はほぼ0です!
編集者コメント|“選ばれ続ける”理由の正体
3人の話を整理すると、介護美容で選ばれ続ける理由はこう言えます。
- 入口は、技術・専門性・実績でもいい
- けれど、続く理由は「人との関わり方」にある
- 美容は目的ではなく、関係をつくるための手段
- 第三者だからこそ生まれる価値がある
介護美容は、「上手に施術できる」だけが評価される仕事ではありません。
人としてどう関わり、その時間にどんな変化や価値を生み出せるか。そこにこそ、介護美容が“選ばれ続ける理由”があると感じました。

介護美容の仕事は、どうやって広がっていったのか?

「介護美容の仕事は、どうやって増えていくんだろう?」
ケアビューティストの仕事に関心を持ったことがある人や、これから目指す方にとって関心の高い部分ではないでしょうか。
今回の対談で見えてきたのは、この仕事が“偶然”や“運”で広がっているわけではないという事実でした。
契約の前提は「最初から定期」

私の場合は、契約イコール定期契約をおすすめしています。
三澤さんは、単発ではなく、最初から定期契約を前提に話をします。
高齢者ご本人と直接契約するのではなく、ご家族と話をし、
- 毎月決まった頻度で訪問する
- ご家族からの“プレゼント”という形にする
というスタイルを取っています。

毎回、ご家族にきちんと報告を上げることで、私も解約率は0です!
施術後の様子や写真、その日の表情や会話の内容を共有する。
それによって、
- ご本人は楽しい時間を過ごせる
- ご家族は安心できる
両方が満たされる構造ができあがっています。
「美容が当たり前にある生活」をつくる

特別な日じゃなくて、日々の生活の中に美容がある状態を目指しています。
三澤さんが定期契約にこだわる理由は、「イベント」ではなく、生活の一部として美容を届けたいから。
月に1回、2回と訪問を重ねることで、高齢者の日常に、自然に美容が溶け込んでいきます。
家族・施設まで含めた「包括的なケア」

利用者さんだけじゃなくて、その先にいらっしゃるご家族の心のケアまで叶えたい。
米田さんも、三澤さんと同じく家族契約が基本。
重視しているのは「きれいにして終わり」ではありません。

どんな話をされたか、表情の変化、気になることがあれば施設職員さんに申し送ります。
必要があれば、施設職員、管理ドクターとも連携する。
美容の専門職として、現場のケアチームの一員として関わる姿勢が、大きな信頼につながっています。

写真の共有や細かいレポートが、リピートにつながっているのかなと思います。
紹介・口コミは「現場の中」で生まれる

私の場合は、とにかく紹介が多いですね。
川田さんは、エステサロン時代からの経験を活かし、人と会うこと・つながることを徹底してきました。
異業種交流会、マルシェ、紹介。とにかく顔を出し、人と話す。

こういうおばあちゃんがいるんだけど、って連絡をもらって広がっていきました。
現場の中で“次の仕事”が生まれる瞬間
仕事の広がりは、営業の場だけで起きているわけではありません。

エレベーターで一緒になった方が、私もネイルしたいって言ってくださって。
施設の共有スペースで施術をする。仕上がったネイルを見た別の利用者さんが声をかける。
日常の中で“次の依頼”が生まれる。これも介護美容ならではの広がり方です。
法人内展開で、仕事はさらに安定していく

最近は、同法人内の別の施設さんからも声をいただくことが増えました。
一つの施設で信頼を得ると、契約書や同意書が法人内で共有され、別施設への展開がスムーズに進むことも。
個人に依存しすぎない形で、仕事が広がっていく。これも、介護美容が“続く仕事”である理由です。
編集者コメント|この仕事が「必要とされている」という安心感
3人の話を整理してみると、
介護美容の仕事が広がっていく理由は、とてもシンプルでした。
- 定期契約が前提になっている
- ご本人だけでなく、ご家族や施設まで含めて価値を届けている
- 現場での変化や信頼が、周囲から“見える形”になっている
だから、
「続けてほしい」
「次もお願いしたい」
という声が、自然と次の仕事につながっていきます。
ここまで読むと、「3人だからできているのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
でも、対談を通して強く感じたのは、 誰か特別な才能や派手な営業力があったわけではないということ。
やっているのは、
- 決まった頻度で訪問する
- 変化をきちんと見て、伝える
- 目の前の一人に丁寧に向き合う
とても地道で、当たり前のことばかりです。
介護美容は、無理に仕事を取りに行かなくても、派手に自分を売り込まなくても「必要とされ続ける構造」そのものが現場にある仕事。
だからこそ「特別な誰か」ではなく、これから始める人にも十分に育てていける仕事なのだと感じました。
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