介護現場に美容は必要ない?|「その人らしく」を支える介護美容の存在

「介護に美容なんて必要ない」
そう思われる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
ですが、少し想像してみてください。
例えば、1955年に20歳だった女性は、2025年に90歳を迎えます。
この方たちは、高度経済成長期やバブルを経験し、洋服選びやメイク、ネイルなどを通じて”自己表現”を楽しんできた世代です。
「身だしなみは大人のたしなみ」
「メイクをすることは、自分らしさの表現」
そんな価値観を持って人生を歩んできた方々が、今、介護を必要とする年齢になっています。
では、その「おしゃれする心」は、年齢や環境の変化とともに失われるべきものでしょうか?
介護が始まると、「おしゃれ」が遠のく現実

介護が必要になると、「身だしなみ」や「おしゃれ」が後回しにされてしまうことがあります。
特に施設に入所すると、決まった服装、メイクのない日々、そして鏡を見る機会も減っていく—そんな環境も少なくありません。
「介護を受けているから」「年をとったから」「もう外出もしないから」
と、美容を諦めてしまう方もいますが、実際には”選べる自由”がそもそも用意されていないケースが多いのです。
メイクをするか、しないか。
ネイルを楽しむか、楽しまないか。
それは本来、個人が選べるべきことなのではないでしょうか。
しかし、介護の現場では、環境や制度の枠の中でこうした「おしゃれする自由」がいつの間にか消えてしまっているのが現実です。
「なくてもいい」は、本当に”不要”なのか?
訪問美容ーカットやカラー、パーマといったサービスは、2000年の介護保険制度導入以降、少しずつ広まっていき、今では多くの施設で当たり前のように取り入れられるようになりました。
では、メイクやネイルに対してはというと、「生活に必須ではない」「高齢者には必要ない」と言われることも、まだまだ少なくありません。
しかし、本当にそうでしょうか?
髪を整えることが「生活の質」を保つのに必要なのであれば、ネイルやメイクもまた、心の質を守るために大切なケアといえるでしょう。
「介護美容」はこれからの社会を支える新しいケア

私たちは今、”2025年問題”と呼ばれる課題に直面しています。つまり、高齢者人口のピークを迎える時代に突入しているのです。
そのような中で、介護美容は単なる「美容」ではありません。
高齢者一人ひとりの「生きがい」や「自分らしさ」を支える新しい視点のケアなのです。
- 自分の姿に自信を持てる
- ふとした会話の中に生まれる笑顔
- 誰かに「素敵ですね」と言われる喜び
介護美容の普及によって、施設職員とのポジティブなコミュニケーションを育むだけでなく、家族と温かな時間を取り戻すきっかけにもなります。
メイクやネイルは「贅沢」ではなく「自己表現」
「もうおばあちゃんだから」「人前に出ることもないし」
こうやって本人自身が美容を諦めてしまっていることも。

ですが、鏡の前でリップを塗ると気持ちがシャキッとしたり、「今日もいい日になりそう」と思えたりします。
ネイルを見ながら「孫とのお出かけが楽しみ」と微笑んだりするーそんな瞬間は、その人らしさや尊厳に深く関わる、大切なケアです。
”見た目を整えること”が人の心を整えることであるということ。ささやかですが、”生きる力”を呼び覚ましているといえるでしょう。
実際に広がる「介護×美容」の取り組み
最近では介護現場でもメイクやネイルなどの美容サービスを導入するケースが増えてきました。

- 介護職員が簡単なメイクやネイルケアなどを行う
- 専門の外部サービスに委託して定期的に訪問してもらう
- 家族と一緒に”美容の日”を楽しむイベントを実施する
これらの取り組みを通じて、利用者の笑顔が増えたことや、自己肯定感が高まるという効果が多く報告されています。
美容が生んだ、心と生活のあたたかな変化
美容を通じて得られる変化は、見た目の美しさにとどまりません。
“心が動き、暮らしそのものにメリハリが生まれる。”
弊社が提供する訪問美容サービス「care sweet」導入施設の現場からは、そのような声が多く届けられています。

「こんな表情、久しぶりに見た」
ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 様では、普段あまり反応のなかった方に明るい表情が見られるようになったといいます。
メイクをしたあとの写真を見て「こんな表情今でもするなんて!」と家族も驚く場面もあるそうです。
施設職員も「”反応がない”と思い込んでいた」と先入観に気づかされ、美容の力を改めて実感したといいます。
「ネイルが会話のきっかけに」
グラント粕屋デイサービスセンター 様では、ネイルケアがコミュニケーションを広げる大切なツールになっています。
ネイルの施術は数日残るため、家族や職員との会話の糸口にもなり、声掛けにも繋がります。「ネイルがきっかけで孫と話した」と利用者からの嬉しそうな報告があることも。
また、美容レクリエーションの体験を通して、新規利用者の獲得や、既存の利用者の通所意欲の向上にも繋がっているそうです。
まとめ:美容は介護の”希望”になり得る
介護が必要になったからといって、「自分らしさ」まで失う必要はありません。
むしろ、そんな時だからこそ美容の力が必要なのかもしれません。
「私らしく、素敵に歳を重ねたい」
そう思える時間が、一人ひとりの人生を豊かにしていきます。
美容は、年齢や身体の状態に関係なく、人の心を動かす力を秘めています。
だからこそ、介護における美容は「贅沢」ではなく「選べる自由」として、もっと広く社会に浸透していくべきだと、私たちは考えます。
未来は「もっと私らしく」を叶えられる場所へ。
介護と美容が共にある、その可能性を信じています。

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