介護美容とは?未経験からでも始められる?必要な資格は?
近年、TVをはじめメディアにも多数取り上げられ、注目度が上がっている「介護美容」。
介護美容とは、高齢者や障がいを持つ方へ美容を通じて心身のケアをおこなうことをいいます。
また、介護美容のニーズが高まっていることにともない、介護美容を生業とする「ケアビューティスト」と呼ばれる職業も登場しています。
実際、ケアビューティストとして活動している方の中には、店舗や事務所を構えずにフリーランスとして、家庭やほかの仕事と両立しながら働く方も増えています。
ただし、介護美容は通常の美容とは特徴の異なる部分が多くあり、正しく理解していなければ思わぬ事故に繋がったり、思っていた仕事内容と違ったりするなどのリスクも否めません。
そこで本記事では、介護美容の概要や必要となる資格、活かせる場所について解説します。
そのほか、介護美容のメリットと楽しみ方についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
介護美容・ケアビューティスト・訪問美容師とは?
まずは、「介護美容」「ケアビューティスト」「訪問美容師」とはそれぞれどのような意味なのかをみていきましょう。
介護美容
介護美容とは、高齢者向け美容のさまざまな技術とともに、介護技術を習得した技術者が要介護認定や要支援認定を受けた高齢者へ美容施術を提供するサービスのことをいいます。
介護美容では主に、メイク、ネイル、エステの3つがあり、美容施術を通じて見た目だけでなく、心身全体にアプローチすることを目的としています。
また、カット、カラー、パーマなど通常の美容室サービスを出張形式で行う訪問美容も、介護美容の一部と言えます。
ケアビューティスト
ケアビューティストとは、介護美容を習得した技術者のことをいい、高齢者に特化した美容施術を提供できる専門職です。
美容を通じてADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を向上し、健康寿命の延伸に寄与することを目指します。
ケアビューティストは施設スタッフやご家族の介助なしで施術を行うことができ、日常動作が困難な方も安心して施術を受けることができます。
訪問美容師
訪問美容師とは、店舗に来られない高齢者や障がい者の自宅や施設を訪問して美容サービスを提供する美容師です。カット、カラー、パーマなど通常の美容室サービスを出張形式で行います。
高齢者のADL/QOL向上に貢献!介護美容のメリットと楽しみ方
先ほども説明したように、介護美容は美容と介護の要素を組み合わせ、高齢者や要介護者の身だしなみ整えと精神的サポートを提供することをいいます。
そんな介護美容には、以下3つの効果やメリットが期待できます。
心理的効果に関するメリット
介護美容は、見た目のケアと内面の豊かさを結びつけることで、利用者である高齢者が自身の外見に誇りを持ち、活力ある日々を送れるよう働きかけます。
外見の清潔感を高めることで内面からの充実感や自信も高まり、結果として自尊心の向上やQOL向上に繋がるのがメリットとして挙げられます。
ほかにも、身だしなみを整えることは介護美容を利用した本人だけでなく、周りの入所者の気持ちにもよい影響を与えることができます。
例えば、メイクやネイルをして生き生きとしている人を見ると、「自分もあんなふうになりたい」と感じることもあるでしょう。
このように、介護美容は利用者本人だけでなく、周囲にとってもプラスに働く可能性があるというのもメリットといえます。
身体的側面に関するメリット
もちろん心理的な側面だけでなく身体的な側面にも多大なメリットがあります。
例えば、高齢者がマッサージやスキンケアを受けることで新陳代謝の促進が期待できます。
ほかにも、高齢者自らがメイクをする場合、細かい動作を行うことで身体機能の維持・回復といった、身体的側面へのメリットもあります。
また、介護美容にはリラックス効果も期待できることから、心身の疲労やストレスを軽減させることにもつながるでしょう。
コミュニケーションにおけるメリット
ほかにも、介護美容によって自身の外見が整うことで自尊心の向上と社会参加を促し、社会的な孤立を防げるという点もメリットとして挙げられます。
メイクやネイルをすることで周囲の利用者や職員からいつもと違う反応をもらったり、会話をしたりすることそのものが、コミュニケーションをより活性化し、良好な関係を構築しやすくなります。
介護美容の楽しみ方
介護美容は、主に次のような楽しみ方があります。
- ケアメイク:スキンケアやメイクを施す
- ケアネイル:マニキュアを爪に塗ったり、デザインを施したりする
- ケアエステ:全身マッサージやハンドマッサージ、フットマッサージなどを施す
- ヘアケア:美容師・理容師にヘアカットやヘアカラー、ヘッドマッサージ、髭剃りなどをしてもらう
また、実際に介護美容を受けた利用者に関して次のようなエピソードがあります。
【実際に介護美容を利用した方のエピソード】
寝たきりで入浴ができず、皮膚が乾燥して足の裏がカチカチになり、ご自分の足で立てなくなってしまったS様。週1回の足浴と保湿トリートメントの施術を継続的に行ったところ、1,2ヶ月程で足は徐々に綺麗になり、4年ぶりに立てるようになりました。
このように、美容によるアプローチを通して利用者自身のリハビリや社会参加への意欲が湧いたり、穏やかでいられる時間が増えたり、入浴や食事を拒む回数が減るなどといったADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)向上に繋がるさまざまな実例が報告されています。
介護美容が、医療・介護現場で注目されている理由
利用した高齢者にとって、心身ともにポジティブな効果が期待できる介護美容は、医療・介護現場においても注目が集まっています。
特に医療分野においては、足のケアが注目されており、ケアビューティストもフットケアでの需要が高まっています。
例えば、大阪にある透析クリニックでは、ケアビューティストを交えたチームケアが実施されています。
ケアビューティストが足の状態のチェックをし、爪切りや角質除去以外、むくみを取るためのマッサージといったケアを行っており、看護師や医師、理学療法士と連携しています。
実際に手を触れることで患者の足の症状の早期発見・早期治療につなげることができます。
また、通院や治療時間、食事制限などのさまざまな制限・苦痛を和らげ患者にとってもリラックス効果が期待できます。
介護現場においては、レクリエーションを外部のプロに頼めることで介護職員の負担を減らし、より充実したサービス提供が可能になるメリットがあります。
レクリエーションの一部を介護職員の業務から切り離し、利用者の社会参加や活動意欲が向上することで、リハビリ参加にも意欲的になったり、コミュニケーションが円滑になったりなどのメリットが期待できます。
このように、介護美容は医療・介護業界におけるビジネスの側面においても、施設との差別化を図ることができ、入居率・デイサービス(通所介護)の稼働率の改善など、多くの問題・課題解決に役立っています。
介護美容に必要な資格
ここまで読んできた方の中には、介護美容(ケアビューティスト)を仕事にしたいと考えている方もいるかもしれません。
実際、介護美容を仕事にするうえで必要な資格にはどのもようなものがあるのでしょうか。
介護関連資格は必須ではないものの、取得しておくのがベター
結論からいうと、介護美容においては介護関連資格は特に必須ではありません。
ただ、介護施設の利用者に向けてサービスを提供する以上、介護に関する専門的な知識・スキルを身につけて資格取得を目指すことが望ましいといえます。
介護資格を取得することで、サービス提供のために赴く施設との信頼性を高めることができます。
また、介護に関する専門的な知識やスキルを身につけておくことで、認知症などの症状が見られる利用者に対しても適切な対応をとることができるでしょう。
なお、介護美容で活躍するために取得しておくと役立つ介護資格については「介護美容で活躍するために取得したい介護資格」内で紹介します。
提供するサービスによっては、資格が必要な場合も
提供するサービスによっては、国家資格の取得が必要な場合もあるため注意が必要です。
例えば、利用者のヘアカットを行うためには美容師や理容師免許が必要です。
美容師免許を取得すればヘアカットやパーマ、セットなどの施術をおこなうことができます。
理容師も同様にヘアカットなどの施術ができるものの、美容師と理容師では行うことのできる施術にそれぞれ違いがあります。
もし訪問美容師に興味があるのであれば、まずは美容師もしくは理容師免許取得を目指すことをおすすめします。
一方、メイク・ネイル・エステなどの技術を用いた介護美容のケアには、必ず取得しなければならない資格はありません。
ただ、資格を取得するれば一定の知識やスキルがあることをアピールできるので、民間資格をそれぞれ取得するのもひとつの手です。
また、高齢者向けのメイクや美容ケアに関する知識を高めることでサービスの質を向上させるだけでなく、利用者や施設からの信頼も高めることができるでしょう。
介護美容が活かせる場所
近年、介護美容のニーズ増加にともない、介護美容を習得した技術者「ケアビューティスト」が活躍する場が増えています。
介護美容が活かせる場所として、次のような場所があります。
介護施設や利用者の自宅
一般的には、介護美容サービスを提供する企業や介護事業所、サロンなどに所属して、医療機関や介護施設、または介護サービスを利用している方の自宅へ赴いて施術をおこないます。
会社やサロンなどで働きながら問い合わせを待つほか、自宅からお客さまのもとへ向かい、施術後に帰宅するという働き方をする方もいます。
施設で介護士として働きながら
ほかにも、介護美容を導入している施設で介護士として働きながら活動するというケースもあります。
介護士としての経験を積みながらレクリエーションとして介護美容を提供することで、ケアビューティストとしての活動実績を積むことができるでしょう。
フリーランスとして開業するケースも
企業やサロンなどに所属して働くほかにも、フリーランスで働くという方法もあります。
フリーランスのケアビューティストとして活動する場合、自身で介護施設や医療機関と委託契約を締結し、依頼に応じて施設や利用者自宅で施術を行うことが一般的です。
ほかの仕事や家事をしながら、ご自身のペースに合わせて仕事を入れることができるため、最も自由度の高い働き方といえるでしょう。
介護美容を知るうえで押さえたい美容知識・必要な技術
介護美容は高齢者や障害を持つ方へ美容を通じて心身のケアをおこなうため、高齢者向けの美容知識や、通常の美容施術とは異なるアプローチの技術が求められることもあります。
高齢者向けの美容知識
高齢者向けの美容施術をおこなう際には、一般的に以下に挙げたような知識を正しく理解する必要があります。
- 高齢者ならではの肌質や髪の問題に対する理解・対応が必要
- 乾燥肌や薄毛など、高齢者特有の問題に適したケアをおこなう
- 保湿性・低刺激を考慮した化粧品を選ぶ必要がある
- しわやたるみが気になる肌へ適切なメイクアップ技術が求められる
- 爪の健康維持と美しい手元を保持する、高齢者向けネイルケアの重要性とその役割
- 心身の健康支援と明るい日常生活の促進を目的としたケアの実践
介護美容に必要な技術
美容は外見を整えるだけでなく、自尊心を高めて明るい気持ちを取り戻す効果が期待できます。
ケアビューティストとして活動するには、以下に挙げた技術が求められます。
- 介護と美容を融合させたメイクやネイルやエステで心のケアをおこなう
- 利用者に対する、優しく尊厳を持った施術技術
- メイクは自然な仕上がりを心がけ、肌に優しい製品の選択が重要
- 表情を明るくするためのリップ・チークの色選びには注意が必要
- ネイルは機能性を損なわない長さや形、清潔感のある色を選ぶ
- ネイルケアでは、爪の健康を考慮し、保湿や強化を重視する
このように、ケアビューティストとして介護美容の世界で活躍するには、美容の基礎技術とともに介護への応用知識、そして実際の介護現場での経験が成功への近道といえるでしょう。
介護美容をお仕事にするなら「介護美容研究所」で学ぶのがおすすめ!
介護美容は、介護サービスを利用する方の生活にハリをもたらしてくれ、心身の健康維持やADL/QOL向上に貢献できる、非常にやりがいのある仕事といえます。
そんな介護美容をお仕事にしたいと考えているのであれば、「介護美容研究所」で学ぶのがおすすめです。
介護美容研究所は2018年7月に開校以来、介護と美容それぞれの業界で必要となる知識や技術を研究し、新たな教育メソッドを開発。
現在は、「ケアビューティーコース」「訪問美容コース」2つのコースを設置しています。
①ケアビューティーコース
ケアビューティーコースは、すでに介護士や看護師として働いており、プラスで美容の技術を習得し、「ケアビューティスト」としてスキルアップしたい方を対象としたコースです。
6ヶ月・8ヶ月・1年通学コースでは、介護・看護職未経験の方が、卒業後にはケアビューティストとしてプロの一歩を踏み出すことできます。
また、6ヶ月以上の通学コースではビジネス知識も提供しており、スクール卒業後はダブルワーク・ギグワーク・独立などといった、多様な働き方を目指すことができます。
②訪問美容コース
訪問美容コースは、美容師として働いた経験があり、訪問美容の技術を習得したい方を対象としたコースです。
スクール卒業後は、施設や自宅で寝たきりの高齢者の方への施術が可能になります。
これまで培ってきた美容師としての経験をそのまま活かすことができるため、休眠美容師の方の仕事復帰のきっかけにもなります。
そんな介護美容研究所では、介護美容について必要な知識を学べるだけでなく、卒業後にケアビューティストとしての活動をスムーズに開始できるようなサポート体制を整えています。
- 介護美容をお仕事にするために必要な知識・技術を学べる(現場実習を含む)
- 必要に応じて、初任者研修・ガイドヘルパーの講習をセットでの受講も可能
- 介護美容導入施設で働きたい場合、お仕事の紹介制度がある
- コースによっては、提携先施設からケアビューティーの仕事を受けることも可能(ケアスウィート)
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