介護者必見!在宅介護の大変なことランキング|在宅で受けられる介護サービスの種類・費用も詳しく紹介
在宅介護とは、高齢者施設などの介護施設へ入居せず、家族が自宅で介護することをいいます。
要介護者本人が長年住み慣れた自宅で過ごせることは、自らのメンタルやQOL(人生の質)によい影響を与えると考えられています。
とはいえ、家族は介護士のように専門的な知識・スキルを持っていないことが多いため、さまざまな負担が発生する可能性が高いでしょう。
また、在宅介護を検討している方にとっては、いざ自宅で介護を始めた際にどのような点に気を配ればよいのかイメージが湧きづらい場合もあるかと思います。
本記事では、在宅介護で大変なことをはじめ、在宅で受けられる介護サービスの種類・費用について詳しく解説します。読者の方のご負担を少しでも軽減できると幸いです。
また、現在注目度が高まっている保険外サービスについても紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
在宅介護で大変な事あるあるランキング
在宅介護は、要介護者自身が長年住み慣れた家で生活できる点は大きなメリットである一方で、家族をはじめとした介護者にとっては負担がかかりやすいのが実情です。
在宅介護における介護者の負担は個々のケースによってさまざまですが、ここではリサーチ会社が行った調査結果をベースに、介護者が感じた在宅介護で大変なことあるあるをランキング形式で紹介します。
在宅介護の負担を少しでも軽減できるようなヒントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【参考元】全国の在宅介護実態調査データの集計・分析結果 〔概要版〕|三菱UFJリサーチ&コンサルティング
第1位:認知症の症状への対応
調査結果によると、家族をはじめとした在宅介護を行う介護者にとって最も大きな負担となっているのが、認知症状への対応でした。
具体的には、要介護1・2の介護者に関しては39.7%、そして要介護3以上の介護者に関しては35.4%もの方が、認知症の症状に対応する際に不安を覚えていることがうかがえます。
認知症の症状は個人差があるだけでなく、症状がその日のうちに変化するケースも多くあります。
例えば、要介護者から繰り返し同じことを尋ねられたり、突然怒り出したりした際に介護者はどのように振る舞うべきなのか戸惑うことあるでしょう。
ほかにも、自身の状況を正確に認識できないケースもあり、双方の間でコミュニケーションにズレが生じやすくなることもあります。
このような状況が続いた場合、介護者は精神的に疲弊してしまう可能性があるでしょう。
第2位:夜間の排泄介助をしなければならない
介護者の睡眠を妨げる原因にもなりかねないものとして、夜間の排泄介助があります。
調査結果によると、夜間の排泄に不安を感じているという要介護3以上の高齢者の介護者が、35.4%もいることが調査結果からわかります。
もし夜間帯に排泄介助が必要な要介護者がいる場合、介護者は夜中のうちに何度も起きなければならないこともあるでしょう。
日中の介護に加え、さらに睡眠も思うようにとれない状態が続くとなると、介護の質が低下してしまうことにもなりかねません。
そのくらい、介護者にとって夜間の排泄介助は身体的負担が大きいものであることがうかがえます。
このように、夜間の排泄介助が理由で睡眠不足になってしまうことを避けるためにも、介護者の負担を少しでも軽減できる次のような工夫をするのがおすすめです。
- 頻尿の原因が病気の場合であれば、医療機関で治療を受ける
- 排尿日誌をつけ、排尿時刻や尿の量・水分をとった量と時間・尿モレの有無を記録する
- ポータブルトイレをベッドの近くに設置する
- 就寝時は夜用の大人用紙おむつを使用する
第3位:通院時や外出時の介助や送迎をする必要がある
通院時や外出時の付き添いや送迎は、要介護者が社会参加するうえで欠かせないものの、介護者にとってはどうしても体力面や時間での負担が増えてしまいます。
例えば、一般的に高齢者の多くは若い頃に比べて通院する機会が増える傾向があります。
中でも、身体的な不安があったり、医師からの説明を正しく理解できるか不安があったりする方にとって、通院の介助は不可欠です。
とはいえ、病院への付き添いの頻度が極端に多い場合、介護者が都度スケジュールを調整することは容易ではありません。
また、通院時に必要な持ち物や要介護者の服装、外出先での排泄介助といった、さまざまな点にも気を配らなければなりません。
少しでも介護者自身の身体的・精神的負担を軽減できるようにするためにも、家族やホームヘルパーへ相談・依頼することをおすすめします。
第4位:日中の排泄が苦痛に感じる
夜間帯と同様、日中の排泄介助もまた、在宅介護の大きな負担となる要因のひとつです。
例えば、頻繁にトイレ介助や排泄物の処理を行うことは身体的・精神的にも大きなストレスにもなりかねません。
中でも、失禁があった場合には衣類や寝具の交換などしなければならず、追加での作業が増えることで介護者の負担も自ずと増えてしまいます。
「第2位:夜間の排泄介助をしなければならない」でも紹介した対策のほか、消臭スプレーや密閉性の高い処理袋などを使用するなど、汚物を処理する際にかかるストレスを可能な限り軽減できるような方法を取り入れてみましょう。
第5位:入浴・洗身の補助が必要
入浴時の介助は、要介護者にとって清潔を維持するためには不可欠なものであるのと同時に、転倒や溺水しないよう細心の注意を払わなければなりません。
また、浴室内は滑りやすいため介護者自らも安全確保に努める必要があり、湯温の調整や体を洗う際にも気を配る必要があります。
店頭や溺水のリスクを避けるためにも、浴室に手すりを設置したり、滑り止めマットなどを用意したりして安全性を高めることができるでしょう。
ほかにも、入浴は要介護者が羞恥心を感じやすく、本人が介助を拒否したくなるケースも考えられます。
そのような場合、例えば入浴の頻度を週2〜3回程度に減らしたり、デイサービスでの入浴や訪問入浴を依頼したりするのもひとつの手です。
在宅で受けられる介護サービスの種類・費用
在宅介護では、状況に応じて介護サービスを受けることで、介護者の身体的・精神的な負担を軽減させることが期待できます。
在宅で受けられる介護サービスとして、以下のとおりさまざまなものがあります。
- 訪問型の介護サービス
- 通所型の介護サービス
- 宿泊型の介護サービス
- 訪問・通所・宿泊を組み合わせた介護サービス
- 住宅環境を整えるサービス
- 介護保険適用外のサービス
ここでは、在宅で受けられる介護サービスの種類・費用の目安を見てみましょう。
訪問型の介護サービス
ホームヘルプサービスとも呼ばれる訪問型の介護サービスとは、看護職員や介護職員などの有資格者が自宅を訪問し、在宅介護を全体的に支えてくれるサービスでのことをいいます。
介護保険が適用される訪問介護の自己負担は、要介護度によって異なる場合があるものの、基本的に身体介護の場合の相場は「1時間567円」で、30分ごとに82円が加算されます(1単位=10円、自己負担割合1割の場合)。
訪問型の主な介護サービスには、以下に挙げたようなものがあります。
訪問介護(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパーが利用者の自宅を訪れ、炊事洗濯といった家事や、入浴時の補助などをサポートします。
訪問介護は、大きく分けると以下の3種類に分けられます。
- 身体介助:食事、排泄、入浴などのサポート
- 生活援助:掃除、洗濯、買い物、調理などの日常生活の支援
- 通院介助:通院を目的とした乗車、移送、降車のサポート
なお、事業所によっては乗車・移送・降車の介助サービスを提供していることもあります(通院などを目的とする場合のみ)。
訪問看護
訪問看護とは、健康の悪化を防ぎながら、回復を目指すサービスのことです。
かかりつけ医の指示に基づいて看護師や保健師が利用者の自宅を訪れ、病状や障害に応じて看護を提供します。
提供される主なサービスとして、次のようなものがあります。
- 血圧、脈拍、体温の測定
- 病状の確認
- 排泄や入浴、洗髪の介助
- 在宅酸素やカテーテル、ドレーンの管理
サービス内容は、かかりつけ医の指示によって異なります。
そのほか、自宅での最期を望む方の場合には、病院での医療処置を行いながら、その方の希望に応じたサポートも提供します。
訪問入浴介護
訪問入浴介護とは、自宅での入浴が難しい方をサポートするものです。
訪問介護でも入浴の介助を受けられるものの、訪問入浴介護では専用の浴槽を積んだ入浴車が自宅へ訪問します。
訪問介護ではスタッフが1名で行うのに対し、訪問入浴介護では看護師または准看護師1名と、介護職員2名以上が協力して要介護者の入浴をサポートしてくれます。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、利用者ができる限り自立した日常生活を自宅で送れるよう、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが訪問して支援するサービスです。
かかりつけ医の指示に基づき、リハビリの専門家が心身機能の維持・回復や日常生活の自立を目指してサポートを行います。
訪問リハビリテーションの主なサービス内容は、それぞれ以下のとおりです。
- 身体機能の改善(関節拘縮や褥瘡予防のためのマッサージ など)
- 日常生活の訓練指導:
・歩行や基本動作の訓練(寝返り・起き上がり・移乗動作 など)
・日常生活動作の訓練(食事・排泄・着替え・入浴・トイレ など) - 家族へのサポート:
・各種動作のサポート方法や工夫に関する指導
・福祉用具や自助具の提案
・住宅改修に関する相談やアドバイス
居宅療養管理指導
居宅療養管理指導とは、医師や歯科医師、薬剤師などが利用者の自宅を訪れ、療養に関する管理や指導を行うサービスのことをいいます。
具体的なサービス内容は、次のとおりです。
- 居宅介護支援事業者への情報提供: ケアプラン(居宅サービス計画)の作成時に必要な情報を提供する
- 利用者および家族への指導およびアドバイス:居宅サービスを利用する際の留意点や介護方法について指導・アドバイスを行う
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、看護と介護が連携しながら利用者の家を24時間定期的に巡回してくれるサービスのことです。
このサービスでは緊急時に備え、通報を受けた場合すぐに駆けつけてくれます。
利用対象となるのは、要介護1~5の方です。
通所型の介護サービス
通所型サービスは、利用者ができるだけ自立した日常生活を送れるよう、他者との交流や心身機能の維持に加え、家族の介護負担の軽減を目的としています。
介護度によって費用は異なりますが、例えば要介護2の方の場合、3~4時間の利用で423円が相場です。
通所介護(デイサービス)
デイサービスとも呼ばれる通所介護は、利用者が日中に施設に通い、食事・入浴・機能訓練などといった介護サービスを受けることができる施設です。
通所介護では、利用者の心身機能を維持するための機能訓練や、生活支援としての食事や入浴のサポートが提供されます。
また、ほかの利用者やスタッフとの交流を通じて他者とのつながりを感じられる場ともなります。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーション(デイケア)は、介護老人保健施設や病院、診療所などへ定期的に通院し、機能回復訓練を受けるサービスのことです。
このサービスでは、食事・排泄・入浴などといった日常生活のサポートに加え、歩行訓練や体操、リフォーム、福祉用具のアドバイス、看護職員による健康チェックが行われます。
なお、通所リハビリテーションを利用する際は、担当医やケアマネジャーとよく相談したうえで決めるようにしましょう。
地域密着型通所介護
地域密着型通所介護は、利用定員が18人以下の小規模なデイサービスのことです。
この施設では、食事の提供や入浴などの生活支援のほか、さまざまな機能訓練が行われ、自立した生活をサポートしてくれます。
また、看護師が常駐している施設も多いため健康管理に関するサービスも受けられます。
なお一般的に要介護1以上の方を対象としています。
療養通所介護
療養通所介護は、看護師によるケアや観察を常時必要とする重度要介護者や、がん末期患者を対象としたデイサービスのことをいいます。
このサービスでは、日ごろ利用している訪問看護の看護師がケアを行う場合もあり、利用者にとって身近な存在からの支援が受けられる点がメリットといえます。
通所介護の施設で食事などの生活介護に加えて、機能訓練などの医療的なサービスも受けられるため、家族の負担を大きく軽減してくれます。
宿泊型の介護サービス
宿泊して利用できる介護サービスは、孤立感の解消や心身機能の維持・回復を目的として、利用者ができるだけ自宅で自立した日常生活を送れるようサポートします。
また、家族の介護負担を軽減したり、介護者が不在時の安全確保として利用されるケースもあります。
例えば要介護2の方が短期入所生活介護を利用した場合、一人部屋で1日672円~815円程度が相場となりますが、部屋のタイプや施設の種類によって異なります。
また、介護保険が利用できるかどうかは事前に確認するようにしてください。
短期入所生活介護(ショートステイ)
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合、短期間施設(ショートステイ)を利用することができます。
例えば、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などでは、入浴・排泄・食事などの介護や、機能訓練を受けることができます。
日ごろ在宅介護を行っている家族にとっては、介護から少しの間離れることができるため、介護疲れの休息(レスパイトケア)としての利用も可能です。
また、家族の病気や冠婚葬祭、出張などによって一時的に在宅介護が難しい場合にも役立つでしょう。
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合には、介護老人保健施設などに短期間入所することで、看護や機能訓練を受けることができます。
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)は医療ケアが充実しており、利用者が医療を必要とするか否かという点が、短期入所生活介護(ショートステイ)と異なります。
なお、いずれのサービスも連続利用日数は30日が限度となっています。
訪問・通所・宿泊を組み合わせた介護サービス
訪問・通所・宿泊の要素を組み合わせた介護サービスには、次のようなものがあります。
小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、ひとつの事業所で「介護スタッフの訪問」「高齢者の施設通い」「高齢者の施設宿泊」3つのサービスを提供しています。
このサービスでは、さまざまな介護サービスを利用者の希望に合わせて組み合わせることで、要介護度が上がっても「在宅で生活を続けられる」ことを目指しています。
小規模多機能型居宅介護の利用時に発生する費用は、地域や要介護度により料金は異なりますが、おおむね1万円~10万円程度が相場です。
ただし、小規模多機能型居宅介護を利用中は居宅療養管理指導・訪問リハビリテーション・福祉用具以外のサービスを利用することができないので注意してください。
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護と看護訪問を組み合わせたもので「複合型サービス」とも呼ばれます。
介護度が高い方には、介護や生活支援に加えて医療ケアも提供され、小規模多機能型居宅介護よりも医療的ニーズが高い方(要介護1~5)が利用可能です。
なお、このサービスを利用している間は小規模多機能型居宅介護と同様に、訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・福祉用具を除くサービスを利用することができない点には注意が必要です。
福祉用具・リフォームで住宅環境を整えるサービス
ほかにも、要介護者の自立を支え、日常生活を助けるサービスがあります。
福祉用具のレンタル
貸し出しを行っている福祉用具は、以下の13品目です。
- 特殊寝台および付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 手すり
- スロープ
- 車椅子や付属器
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 移動用リフト
- 徘徊感知機器
- 自動排泄処理装置
ただし、介護度によっては保険給付の対象外の福祉用具もあるため、事前に確認することをおすすめします。
なお、福祉用具のレンタルに必要な費用は、1割(所得に応じて最大3割)負担となります。
例えば、月額レンタル料金が5,000円の歩行器をレンタルする場合、介護保険を利用した際の自己負担は500円になります。
また、3割負担の場合であれば、自己負担額は1,500円となります。
リフォームで住宅環境を整えるサービス
在宅介護を行う際には、自宅での時間を快適にするためのバリアフリー化が重要です。
例えば、転倒を防ぐために段差をなくしたり、手すりを取り付けるなど、自立した生活を支援するリフォームをするのもひとつの手でしょう。
介護保険制度では、身体の状況や住宅の状況に応じて市区町村から補助金が支給される住宅改修サービスを受けることができる場合があります。
このサービスでは最大20万円まで保険が適用され、かかった費用の1割(所得によって最大3割)を負担してもらえます。
注目される保険外サービス
ここまで、介護保険のサービスを紹介してきました。
ここからは、近年注目度が高まっている市区町村の事業所やNPO団体、ボランティア団体などによる保険外サービスを紹介します。
介護予防・日常生活支援総合事業
介護予防・日常生活支援総合事業は、各市区町村の事業所が提供するサービスのことです。
この事業には大きく分けて訪問型と通所型の2種類があり、「介護予防」の名のとおり、要支援1~2および65歳以上の方が利用できるサービスです。
要介護認定を受けていない方でも利用でき、ニーズに応じてサービスを選べることから、高齢者の自立をサポートする制度といえるでしょう。
介護保険外サービス
介護保険外サービスとは、介護保険が適用されず全額自己負担となるサービスのことです。
サービスは各自治体によって異なりますが、一例としておむつの支給や散歩の付き添いなどがあります。
また、ボランティア団体なども介護保険外のサービスを提供しているため、費用負担がそこまで気にならないのであれば検討してもよいでしょう。
介護美容
「介護美容」と呼ばれるジャンルへのニーズも高まっていることをご存知でしょうか。
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