『介護美容がある施設』を目指して―ベテラン看護師 関山さんの挑戦
高齢者の生活の質を支える介護の現場で、見た目だけでなく気分を整える「介護美容」。
日常のケアに美容の時間を取り入れることで、利用者の表情が明るくなり、会話が弾むなど、心身へのポジティブな影響が広がっています。しかし、実際に施設で導入するには、時間や人手、介護美容への理解などさまざまなハードルがあることも事実です。
そんな中、介護美容研究所 卒業生の関山さんは、自身の看護師経験を活かしながら、職場で少しずつ介護美容の認知を広げる活動をしています。今回は、関山さんの現場での取り組みや介護美容への想いなど詳しくお話を伺いました。

看護師としての活動と介護美容の実践

関山さんは介護老人保健施設(老健)に看護師として勤務する傍ら、ご自身の休日を利用して月に5日、職場で介護美容の施術を行っています。

『介護美容を思う存分やってあげたい』ってなると、自分の時間を使ってやるというのが、今のところの現状ですね。

ゆくゆくは、爪切りを絡めたケアや、看護師にも直接関わることから業務内でできるようになるといいなと…。
関山さんの職場にはデイケア、老健、そして小規模多機能施設などさまざまな施設が併設されており、それぞれの施設・フロアごとに利用者の状況に合わせて施術内容を調整して活動しています。
現在の介護美容の活動は全てボランティアとしてだそうですが、今後は業務の一環として取り入れてもらえるように、利用者に寄り添いながら現場の負担にならない形を模索しています。
介護美容に惹かれたきっかけと転職への想い

関山さんが介護美容と出会ったのは、同じく介護美容研究所卒業生の箱石さんの活動をSNSを通して知ったことがきっかけでした。


なんかもう衝撃的で…。これが『私のやりたいことだ!』と思って。
以前は認知症専門病院で業務に追われ、利用者へのケアも清潔保持や安全確保が中心で、日々の業務以上のことはほとんどできない状況だったといいます。
看護師としての経験と、介護美容の知識を組み合わせることで、利用者に対してより多面的なケアができることに魅力を感じ、介護美容研究所への入学と同時に、介護美容が実施できそうな職場への転職を決意します。

今の職場は『縁を大事にしましょう』という理念もうたっている施設なんですね。地域に根付いていこうという想いに、私も介護美容をするならここだと決めて転職も決めました!
複数の形態の施設の他に地域包括支援センターも併設されており、介護美容を広めるにはうってつけの環境だと思ったといいます。
介護美容の導入から広がりまでの軌跡

当初、介護美容の活動は、関山さんが働く老健での実施を検討していましたが、施設側から「デイケアの方が受け入れやすいのでは」との提案があり、デイケアでの活動からスタートしました。
そして、徐々に関山さんの施術の評判が施設内に広がり、老健や小規模多機能型施設へと依頼も増えていきました。

まずはデイケアからスタートして、そのあと自分のいる老健。デイで施術を受けた利用者さんが、小規模多機能を利用した時に、『介護美容が良かった』という話をしてくれていたそうで、そのあと小規模多機能の方でも2か月に1回程度やってもらえないかと声をかけてもらいました。

あとは、周りから『ボランティアなの?』と驚かれることも増えましたね。
こうした活動が広がるにつれて、施設から材料費のサポートが受けられるようになり、施術環境も徐々に整っていきます。
利用者や周りのスタッフからの反応が良く、徐々に他部署でも関心が高まるように。施設内全体で『介護美容』の認知と理解が広がりはじめ、業務の一環として取り入れられるまで、あと一歩のところまできています。

介護美容で感じた手ごたえ

関山さんが実際に介護美容を行う中で、最も手応えを感じたのは、利用者の表情や行動の変化です。

ある利用者さんにネイルをしたら、『今まで自分で歌ったことなかったけどマイク持って歌っちゃった』なんて話を聞いたら、私ちょっと嬉しくて泣いちゃって(笑)。

施設があるエリアは、土地柄的におしゃれなんかする人いないって言われてきたんですけど。それでもこうやって、笑顔になってくれたり、会話が増えたり、何かに挑戦してみたり。介護美容がなにかしらのきっかけというかスイッチになっているような感じはします。
介護美容に初めて触れ、施術を受けた利用者をみたスタッフからも好評で、今では「また来月も何かやってもらえる?」とお願いをされるまでになっているといいます。
こうした変化は、介護美容が単なる見た目のケアではなく、心のケアにもつながることを実感させてくれます。
今後の目標:「介護美容がある施設」を実現するために

関山さんの第一の目標は、介護美容の理解を更に深めて、業務の一環として認められる環境を作ること。そして地域から介護美容を根付かせ、さらに介護美容の素晴らしさを広めていくことだといいます。

まずは目の前にいる利用者さんを優先に、職場で関わる方から介護美容を通して寄り添っていきたいです。

いつかは『ケアビューティストがいる施設』ということを全面に押し出してもらえるようにしたいですね。『自分がいることを一つの売りにしてもらえるように』って思ってます。
今後は、地域包括支援センターや他スタッフとも連携し、地域全体で交流できるような仕組みづくりも構想中。
介護美容を通して、利用者の笑顔や自己肯定感を支える存在になるためにー関山さんの挑戦は続きます。
まとめ:看護と介護美容で叶える“心に寄り添うケア”
介護美容は見た目だけでなく心まで優しくケアをしてくれる力を持っています。
看護師として長年培ってきた経験に、介護美容という新しい視点を重ねて、関山さんはその人らしさに寄り添う時間を届けています。
介護や医療の現場に”介護美容のある日常”が増えていくこと。
それは利用者だけでなく、支える側にとっても働く喜びが増していくはずです。
いつか「介護美容があるのが当たり前」と言われるような未来へー。
関山さんの挑戦は、これからも多くの笑顔を生み出していくはずです。
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