“普通の会社員”がトップケアビューティストへ──箱石志保さんが選んだ介護美容の道

近年、メディアでも注目を集める「介護美容」。高齢者のQOL(生活の質)を高めるアプローチとして、介護や医療の現場でも取り入れ始められています。そして、「年齢を重ねても、自分らしくいたい」その想いを支えるために、現場で奮闘するケアビューティストたちがいます。
その中のひとりが、介護美容研究所 卒業生の箱石志保さんです。今やトップケアビューティストとして活躍する箱石さんも、かつては”普通の会社員”として働きながら、自分に何ができるかを模索していたひとり。介護も美容も未経験でゼロからのスタートでしたが、介護美容の道に飛び込み、その後の人生を大きく切り拓いていきます。
今では第一線を走りながら、憧れの存在として注目を集める一方で、これまでに不安や葛藤、地道な努力の積み重ねがありました。
今回は、現在の箱石さんの活動状況や、卒業から安定した収入を得るまでの苦労とリアルな道のり等、赤裸々に語っていただきました。
「いつか自分もケアビューティストになりたい!」そう考えている方に必読間違いなしの内容となっています!

介護美容の第一線で活躍中!誰もが知るトップケアビューティスト
介護美容研究所を卒業後、ケアビューティストとして活動をスタートした箱石さん。今では様々なメディアにも取り上げられ、ケアビューティストを志す人ならご存じの方も多いのではないでしょうか。
まずは、そんな箱石さんの現在の活動状況について伺いました。
INTERVIEW

箱石志保さん
2021年に介護美容研究所を卒業。
一般企業の会社員で介護も美容も未経験の状態から、在学中に介護職に転職。卒業後は「介護美容YN」を立ち上げケアビューティストとして活動を開始。現在は、施設契約のための営業・人材派遣等の運営をメインに行う。オンラインサロンを開講し、各地にいるサロンメンバーに契約先への仕事を依頼するスタイルを確立。第一線で介護美容を提供し続け、メディアにも多数取り上げられる。Instagramのフォロワー数は1万7千人以上。介護美容の発信やブランディングにも長け、SNS講師としても活躍をしている。
箱石さんは介護美容研究所卒業後に「介護美容YN」を立ち上げ、個人でもケアビューティストとして活動する傍ら、SNSを活用したオンラインサロンを開講。これまでに延べ150名以上のサロン生の悩みや課題解決などのサポートを行ってきました。
そして、箱石さんが契約している訪問先の施設は15施設以上。ひとりでは対応するのが難しくなってきたため、このオンラインサロンのメンバーに仕事を依頼しています。
現在は、主に施設契約の営業などの運営をメインに活動されているため、自身がケアビューティストとして活動する頻度は減っているといいます。
しかし、誕生日や母の日といったイベント時や、個人契約の方からは「箱石さんにお願いしたい」という声も多く寄せられており、月5~6回程は箱石さん自身も現場に出向き、たくさんの方に介護美容を提供し続けています。
また、箱石さんはメディア出演をきっかけに、福祉事業団体と連携した高齢者施設での美容イベントも定期的に行っています。
福祉事業団が募集を募り、介護美容を体験してみたい施設へ美容ケアを実施。体験会後には美容ケアの継続も施設に提案し、その流れで「介護美容YN」との契約にも繋がっているようです。
そして、介護美容を受けたいが継続した契約が難しい施設には、未来のケアビューティストたちの実習先として紹介を打診するなど、自身が卒業した介護美容研究所との連携も積極的に行っているとのこと。

せっかく体験してもらってすごい喜んでくださったのに、『何もできない』『継続できない』っていうのも、もったいないなと思って。
たとえ自分自身が関わることができなくなったとしても、その後のことを気にかけ、出来る限りのサポートを続けてあげたいという姿勢がとても印象的です。
箱石さんのこのような優しさや心配りが、施設や利用者にも安心感として伝わり、介護美容が広がっていくきっかけになっているのではないでしょうか。
コロナ禍での不安と焦り、それでも止まずに前進

今では介護美容で多方面に活躍されている箱石さんですが、ケアビューティストとしてのスタートは決して楽なものではなかったといいます。
箱石さんは介護美容研究所に入学後、務めていた会社を退職し、介護未経験から週2〜3日でデイサービスのパート勤務を始めます。
そこではネイルを塗ったり、フットケアをしたり。在学中から、学んだことを職場でも実践して経験を積み、ケアビューティストへと着実に歩みを進めているかのように思えました。
しかし、2021年コロナ禍真っ只中で介護美容研究所の卒業を迎えたことで、施設訪問はもちろん、営業すらできない日々が続きます。

営業に行きたくても行けない、この時期が一番辛かったですね。
卒業直後は、介護士のパート勤務をしながら職場でも介護美容を実践したり、Care Sweetからの依頼を受けながらケアビューティストとして活動を続けますが、会社員時代の頃に比べると収入は1/4程度にまで落ち込んだといいます。

卒業したら1年くらいでそれなりの形になる予定だったんです。

会社を辞めるときも家族に大反対されたけど、事業計画を見せて納得してもらっていたのに。上手くいかないから、『さぁ、どうしようかな』と。
コロナ禍で思うように活動できずに、焦りや不安もたくさんあったといいますが、箱石さんはこの時期を「介護の現場のリアルを知る」「学びの期間」とプラスに捉え、結果的には良かったのではないかと振り返っています。

介護の仕事はめちゃくちゃ楽しかったです。こんなにハマると思わなかったです(笑)。

ケアスウィートは、全国訪問理美容協議会が全面バックアップする訪問美容サービスのことで、要件を満たした介護美容研究所の卒業生が、技術者として登録することができます。
介護美容一本で生計が立つように!その裏にあった努力とは

思ったように活動できない日がいつまで続くのかという不安や葛藤、様々な想いがあったといいますが、諦めることなく自分と未来を信じ、現在の活動に繋がるように行動し続けます。
まずコロナ期間中では、”出来ることが限られている”という考えを”出来ることは何でもやる”発想に転換し、新型コロナウィルスの流行がが少しずつ落ち着いてきた頃を目安に、施設へのチラシの発送や持ち込みでの営業、Instagramで介護美容の発信にも力を入れました。時には、箱石さん自身も初の試みであったオンラインでのレクリエーションも実施したといいます。

たまたま施設とつないでくださる方がいたこともあって。セルフでできるハンドケア、頭のツボのマッサージ、イスヨガ…。出来ることは何でも模索しながらやってたって感じですね。
2022年頃には、介護士のパートを退職。懸命な営業活動の末、介護美容一本でも生計が立てられるようになったといいます。
そして2023年。新型コロナウィルス感染症が季節性インフルエンザと同等の「5類」へと移行した頃を目途に、新たに施設からの問い合わせが増え、多くの施設と契約を結ぶことに成功。気づけば、収入は会社員時代を越えるようにまでなりました。
ここで箱石さんは、契約に繋がったパターンには3つのタイプがあると挙げています。
①種まき期間として、コロナ期間中にチラシ配布や営業を行った施設からの返答があった。
②コロナが5類に移行してから、新たに体験会を通して契約へとつながった。
③Instagramでの発信を続けたことにより、そこから問い合わせがあった。また、DMで自ら施設へ営業を行い契約に繋がった。
このように地道な営業活動と試行錯誤を重ねた結果、実を結ぶこととなります。
そしてそこからは、めまぐるしく活動する日々が続きます。
では、箱石さんが毎日ケアビューティストとして活動していたときは、どのくらいの頻度で稼働していたのでしょうか。

Care Sweetからのお仕事も一緒に数えると、月に20~25日くらい稼働していたときがありました。
Care Sweetの仕事と並行して、自身が契約している施設先への訪問も続け、精力的に活動をしていましたが、箱石さんはある時ふと思ったといいます。

やっぱり一人でやるには天井があるなと、そこで知ったというか…。
たくさんの人に介護美容を届けたいという想いとは裏腹に、一人では数をこなすにも体力にも限界があることを実感します。
そこで2024年頃からは、箱石さん自身は施設契約といった営業をメインとした運営に力を入れ、現在のように一緒に働いてくれるメンバーに仕事を依頼する人材派遣業へとシフトチェンジしていったといいます。


「副業ではなく本業に」:覚悟したからこそ今がある

もともと箱石さんは、会社員を続けるつもりはなかったといいます。
そして、日頃から何のビジネスなら自分でもできるかを模索していたある時、介護美容に出会います。

これだ!って思いましたね。

やりたいことが見つかり次第、『なんとかなりそうだったら会社は辞めよう!』と思ってて。
そして、気が付けば予定よりも早く退職していたといいます。

結局、半年も前倒しで会社やめちゃいました(笑)。
新型コロナウィルスの影響で軌道に乗るまで紆余曲折あったといいますが、その時期があったからこそ学べたことがたくさんあったと振り返り、諦めずここまで頑張ってきた箱石さん。

副業でやるつもりは全然なかったので、ちゃんと本業にしたいって覚悟決めて始めたからこそ、続けてこられたのかなと思っていますね。
自分らしく整える時間:仕事を続ける秘訣

介護美容YNやオンラインサロンの運営、訪問美容のイベント、SNS発信ー。
介護美容を”本業”として第一線で活躍する箱石さんの毎日は、まさに多忙そのもの。

ほぼ120%で仕事しています(笑)

でも好きなことなので、全然苦ではないというか。
とはいえ、ずっと走り続けるだけではやはり限界がきてしまうもの。
そこで箱石さんが大切にしているのが、日常の中でのこまめな「気分転換」です。
箱石さんは大のジム好き。週4回はジムに通うほど運動が好きで、意識的に身体を動かす時間を取っているそうです。

気分転換とか、そういうのがないとずっと仕事してしまうタイプだと思うので…。
さらには、愛犬とのお散歩も欠かせない日課のひとつ。

常に動き続ける箱石さんですが、自分らしく整える時間も大切にしています。
このバランス感覚こそが、好きな仕事を長く続けられる秘訣なのかもしれません。
介護美容への想いと、今後の展望

最後に、介護美容に対する想いや今後の展望について伺いました。

どんな方も、美容を楽しみたい方に広げていけたらいいなって思ってます。
箱石さんが契約を結び訪問しているのは、富裕層の方が多い施設がメインだといいます。
しかし、箱石さんの想いはそこに留まることはありません。

どうしても髪の毛のカットと違って、『美容はなくても大丈夫です』って言われることが多いので、そこの認識を変えていきたいかなと。
今では施設に浸透している訪問美容といったカットやカラーなどのサービスに比べて、メイクやネイルなどの美容は“無くてもいい”と思われがち。
しかし、箱石さんはこれらの美容ケアには、生活に彩りを与える力があると信じています。

今の70代ぐらいの方が施設入居される時代になって時代が変わってきたら、さらに介護美容っていう分野は伸びるのかなって思っています。
一方で、現実的な”これからの課題”についても。
箱石さんは自身が営業活動を通じて契約を結んだ施設や現場の仕事を、オンラインサロンのメンバーへと依頼する、いわば現場とケアビューティストをつなぐハブのような役割を担っています。

全国各地にオンラインサロン生がいるから、全国各地にどうやって営業をしていくのかっていうのが課題です。
と今後の展望も語ってくれました。
ただ自分が活躍するのではなく、多くの仲間にもチャンスをつくりながら介護美容を社会に広げていく。箱石さんの想いと行動力は、これからの介護美容の未来に希望をもたらしてくれることでしょう。
まとめ
会社員から一転、未経験で介護美容の世界へ飛び込んだ箱石さん。
様々な困難に直面しながらも、諦めず一歩ずつ前進し、今では多くの仲間と共に介護美容の魅力を各地で届けています。
介護美容は”あってもなくてもいいもの”から”人生を豊かにする選択肢のひとつ”として、今後ますます求められていくはずです。
第一線で活躍する箱石さんの存在は、介護美容の未来を明るく照らしてくれます。
誰もが笑顔を諦めない社会を目指して。介護美容の可能性は今まさに広がり続けています。
介護美容を学ぶなら専門スクールがおすすめ

介護美容研究所は、高齢者向けのヘア・メイク・ネイル・トリートメントなどの施術技術を学ぶことができるプロスクールで、卒業後はケアビューティストとして活躍することができます。
現在、東京校・横浜校・名古屋校・梅田校(大阪)・心斎橋校(大阪)・福岡校の6拠点で開校しており、これまでに2,400名以上のケアビューティストを輩出しています(2025年4月現在)。
実践的なスキルを学ぶ現場実習のほか、卒業後の転職サポートも提供しており、学ぶだけでなくキャリアを築くためのサポートが充実しています。
介護美容研究所では、介護美容に興味を持ってくださった方を対象に、カリキュラムの内容や講座料金などの詳細を記載したパンフレットを無料でお送りしています。
興味のある方は、まずは無料で資料をご請求ください。
